表札は日本独自のもの!?意外と短い表札の歴史についてご紹介!
公開日:2023/04/15 最終更新日:2023/03/28
あなたの家に表札はついていますか?そう聞かれて、ほとんどの人は、ついていると答えるのではないでしょうか。住宅を建築するときも、引っ越して新しいマンションやアパートに住むときも、必ずといっていいほど表札というものは当たり前にあります。しかし、実はそれは、日本独自のものかもしれないのです。
表札は日本独自の風習
表札は、多くの家庭で当然のように使われています。新居を建築する方は、表札をどのようなデザインにしようか、どこに設置しようかとイメージするのではないでしょうか。また、友人宅など、表札を目安に訪問することが多いのではないでしょうか。マンションやアパートでも、名前の記載の有無はともかく、表札自体あることがほとんどでしょう。
このように、日本では当たり前の表札ですが、全世界共通のものではないことはご存じでしょうか。表札は、日本の珍しい風習だったのです。では、なぜ日本だけなのでしょうか?日本の歴史と一緒に見ていきましょう。
日本における表札の始まり
日本における表札の始まりは、明治4年といわれています。明治4年に戸籍法が施行され、苗字というものが普及し始めました。それ以前も苗字は存在していたとされていますが、平民は苗字の公称が許されなかったため、表札というものも存在しなかったようです。
苗字が普及し始めたと同じ時期に、郵便制度も施行されました。それによって郵便物を配達する目安として表札が建てられるようになりました。どこに誰が住んでいるのか分かれば、郵便物の配達に苦労しなくてすみます。
そして、その表札という風習を一気に広めたといわれているのが、関東大震災です。関東大震災では、多くの住宅が倒壊し、転居を余儀なくされた人もいます。そんな人が、周囲に生存を知らせるとともに転居したと周知できるようにと、表札が一気に普及したといわれています。表札は、生存確認としての一面もあったのです。
また、今では当たり前になっている表札ですが、以前はあまり普及していなかったというのは、驚くかと思います。そして、現在では、その当たり前だった表札に変化も起きています。それは、プライバシーの問題や安全面を考え、表記しないという選択をする方が増えてきたことです。また、ひと昔前には、家族全員の表記をしていたとい方も、苗字のみにするなど、変化しています。
家族全員の名前まで表示してしまうと、名前を使って悪事をしようとする人が現れ、子どもが犯罪に巻き込まれてしまうというケースも考えられました。プライバシーの問題からも、現在では多くの家庭で、苗字のみの表記が一般的になっています。このように表札は、比較的新しい文化であり、変化し続けている文化なのです。
海外における表札とは
では、海外では表札はどのようにしているのでしょうか?海外では、表札に苗字を記載するという風習は、あまりありません。韓国とタイでは、表札という風習があります。
韓国の場合は、家族全員のフルネームを表記した表札が主流にです。一方、タイでは、名前だけではなく、身分も表記されています。身分を表記するのは、周囲に身分を周知させるためといわれています。このように表札を掲げる風習があるのは、日本を含め3か国しかおらず、表記内容は、国々で異なっているのです。
日本・韓国・タイの3か国以外では、どうでしょうか?表札がなければ、郵便物の配達を行うのは難しくなります。どうやって郵便物を届けるのでしょうか。表札がないアメリカや欧州諸国では、表札の代わりに通りと番地を組み合わせた、ハウスナンバーを活用しています。
ハウスナンバーは、数字なので、個人情報を不特定多数に公表することにはなりません。ハウスナンバーで郵便物を届け、ハウスナンバーが苗字の役割を果たしているのです。
世界各国の表札文化がない大きな理由として、大きいのは、やはり安全面の問題です。日本も近年重要視されてきましたが、プライバシーの問題が世界各国では、以前から重要視されてきているからです。個人情報でもある苗字、その苗字を悪用してしまれないように、ハウスナンバーで対策しているのです。
また、そのほかの理由としては、引っ越しが多いなどの理由もあるといわれています。さまざまな理由がありますが、表札文化は数少ない特有の日本の文化なのです。
まとめ
日本では当たり前の表札の文化ですが、実はその風習は日本独自の風習となっています。苗字を記載することは、プライバシーの問題とされ、世界の国々では、避けられてきました。アメリカや欧州諸国では、ハウスナンバーを活用し、郵便物など、配達に不便がないように工夫されています。
日本でも近年、表札を表記しない選択をする方も多くいますが、まだまだ、表札という風習は根強い日本の風習となっています。表札がないと、訪問時、不安になってしまう、そんな方も多いのが現状です。今後表札はどのような変化を遂げるのか、日本の表札文化の進化が楽しみです。